01 Think about Energy

日本のエネルギー問題

かつて日本では、化石燃料に代わるエネルギー源としてさまざまな発電方法が模索されてきました。しかし2011年の東日本大震災以降、エネルギー政策は安全性や持続可能性を重視した見直しが進められています。現在も、多様な観点からエネルギーのあり方について議論が続いています。
このような背景の下、日本のエネルギーには大きく2つの面で課題があると言われています。

化石燃料への依存と温室効果ガス排出

2023年に国連が主導する政府間組織である「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」より公表された報告書では、近年の気温上昇が人間の活動による温室効果ガス排出の結果であることに疑いの余地はなく、気温上昇が極端な気象現象の頻度と強度の増加を引き起こしているとの分析結果が明らかにされました。将来の気候変動リスクを最小限にとどめるには、産業化革命前と比較した気温上昇を1.5℃未満に抑制する必要があり、そのためには早急かつ大幅に温室効果ガス排出を削減する必要があることも報告されています。

温暖化を1.5℃に抑制するためのGHG削減量(2019年=100%)

温室効果ガス排出削減のために石油や石炭、天然ガスといった化石燃料の利用を削減することは、「パリ協定」に参加した世界各国が掲げる方針です。しかしながら、日本のエネルギーは諸外国と比較して化石燃料への高い依存が続いており、なかでも温室効果ガス排出の大きい石炭への依存が高いことに国際的な批判の声が出ています。将来にわたって化石燃料依存から脱却する道筋が見えていないことから、日本は世界の環境団体の集まりである気候行動ネットワークより「化石賞」を贈られる不名誉な状態にあります。

電源構成の国際比較(2022)
出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2024年度版」

日本の二酸化炭素排出量は、中国、アメリカ、インド、ロシアといった国に次いで世界で5番目に多くなっています。このまま化石燃料への依存が変わらなければ、CO₂排出量を大きく削減することは難しいと見られています。日本は、2020年に、2050年に温暖化ガス排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を達成すると表明し、2025年には、温暖化ガスの排出量を2040年までに2013年比で73%削減する目標を掲げています。これらの目標を達成するためには、再生可能エネルギーを中心とした非化石電源の構成比を大幅に拡大する必要があるのです。

エネルギー起源のCO<sub>2</sub>排出量ランキング(2022)
出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2024年度版」

エネルギー自給率の低さ

エネルギー自給率とは、生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で確保できる比率のことです。日本のエネルギー自給率は、2022年時点でOECD加盟国38か国中なんと37位の12.6%。2010年時点では20%強でしたが、東日本大震災を経て低い水準にとどまっています。

エネルギー源を海外に頼っていると、どんな問題があるのでしょう?例えば、国際紛争など地政学的リスクにより供給が不安定になる可能性があります。また、様々な理由による価格の影響を受けるリスクもあります。化石燃料は日本で最大の輸入品目であり、2022年にはウクライナ情勢による価格上昇から34兆円にまで拡大し、国民生活にも大きな影響がありました。このような理由から、日本はエネルギー自給率の向上が求められているのです。

エネルギー自給率の国際比較(2022)
出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2024年度版」
順位はOECD加盟国38か国中の順位

一次エネルギー:石油・石炭・天然ガス等の化石燃料、原子力の燃料であるウランなど、自然界に存在する加工前の状態をベースに、発電や転換で生じるロスを含めて集計した、日本が必要とするすべてのエネルギー量。電気・ガソリン・都市ガスなど変換・加工後の「二次エネルギー」や産業活動や交通機関、家庭など、需要家レベルで消費されるエネルギーの総量である「最終エネルギー消費」と対比してこう呼ばれる。