洋上風力発電
風の力で風車を回転させることで発電する風力発電。発電に使う風車を海上や港湾内などに設置する場合には、陸上風力発電と区別して「洋上風力発電」と呼んでいます。このページでは、洋上風力発電ならではの特徴や長所・短所など、洋上風力発電にまつわる様々な情報をご紹介します。
洋上風力発電はどんな仕組み?
洋上風力と陸上風力ではどんな点に違いがあるのでしょうか?実は、風車の構造や発電の仕組みは陸上風力と基本的には同じです。ただし、洋上風力は海上に設置されているため、送電網や設備の基礎構造の点において陸上風力との違いがあります。
海の上で発電された電力は一体どうやって届けられるの?
海底には発電された電力を送るための送電線が敷かれており、洋上風力で発電された電力は、この送電線を通って陸上の電力系統まで届けられています。
洋上風車の基礎構造
陸上風力と洋上風力の大きな違いは、基礎部分の構造です。
洋上風力に適した場所は、風が安定して吹き、風車を設置するための基礎を立てるのに適した、遠浅の海が広がる海域です。その中でも、設置場所の水深によって大きく2種類の設置方法が取られています。
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- 着床式
- 基礎を直接海底に固定して建設する方法。水深50mよりも浅いところでの利用が、経済的および技術的に有利とされています。
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- 浮体式
- 浮体構造物を建設し、海底に固定したアンカーに繋ぎ止める方法の洋上風力発電装置。従来の着床式では設置困難な水深50m以上の海域でも発電できます。
洋上風力発電の特徴
洋上風力発電に適した環境・場所
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風況が良い
一般的に年間平均風速6m/s以上が風力発電に適していると言われている
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遠浅の海(着床式の場合)
風車を設置するための基礎を立てるのに適した、遠浅の海が広がる海域
洋上風力発電の発電量はどのくらい?
開発中のプロジェクトの例
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- 風車
- 9,525 kW×25基
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- 年間発電量
- 約 5億2,166万 kWh
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- 一般家庭の年間消費電力量
- 約 11万8,600 世帯分相当
洋上風力発電の長所・短所
- 陸上に比べて強い風が吹くことが多い
- 障害物がないため安定した風を得られる
- 大型風車の設置が可能
- 住地から離れているため騒音問題などが発生しにくい
- 発電にあたりCO2排出がない
- 陸上に比べ建設コストが高い
- 塩害や強風の被害を受けるためメンテナンスコストや手間がかかる
- 陸まで送電線を引く必要がある
洋上風力発電の豆知識
洋上風力発電の起源
1930年代にドイツのヘルマン・ホネフが提案した、巨大なロータ(回転中心部品にブレードがついたもの)が2つ付いた浮体式の風車が、世界初の洋上風力発電と言われています。その後、1970年代にW.E.ヒロニマスにより提案された浮体式の風車群が現在の洋上風力発電システムに繋がるものとされています。
洋上風力発電の発電量
2019年に世界で導入された風力発電は60.4GW。その約10%の6.1GWを洋上風力発電が占めています。