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日本は火山が多いのに地熱発電が普及していないのはなぜ?

日本は世界有数の火山国で、地熱資源量はアメリカとインドネシアに次いで世界第3位、出力にして約2,300万kWのポテンシャルがあるとされています。しかし2019年6月末時点で、日本の地熱発電は設備容量にして合計約57万kW(ポテンシャルの約2%)にとどまっています。なぜでしょう?

日本では、火山地帯の多くが国立公園内に存在しています。そのため発電所の開発には制約があり、かつ様々な許認可が必要となります。また、温泉施設などが既に開発された地域では、先行利用者である施設や団体との調整も必要です。さらに、これらをクリアして開発を進めることができたとしても、運転開始までにかかる期間は一般的に10年以上。また調査自体にかかる費用も大きく、1本数億円の調査井を複数掘っても、事業化できない場合があります。こうした理由から地熱発電所の開発は、事業性の見極めが非常に難しく、開発事業者の金銭的なリスクも大きくなっているのです。

日本の地熱発電所の多くは東北と九州に集中しています。日本で初めて1966年に商用運転を開始した発電所は、岩手県にある松川地熱発電所。この松川地熱発電所は50年以上発電を続けており、現在も操業を続けています。

日本は、早くから地熱発電機器の製造技術を確立してきたことから、実は地熱発電技術において世界をリードしています。世界中の地熱発電所で日本メーカーのタービンが使われているのです。