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日本は火山が多いのに地熱発電が普及していないのはなぜ?
日本は世界有数の火山国で、地熱資源量はアメリカとインドネシアに次いで世界第3位、出力にして約2,300万kWのポテンシャルがあるとされています。しかし2023年12月末時点で、日本の地熱発電は設備容量にして合計約60万kW(ポテンシャルの約3%)にとどまっています。なぜでしょう?
日本では、火山地帯の多くが国立公園内に存在しています。そのため発電所の開発には制約があり、かつ様々な許認可が必要となります。また、温泉施設などが既に開発された地域では、先行利用者である施設や団体との調整も必要です。さらに、これらをクリアして開発を進めることができたとしても、運転開始までにかかる期間は一般的に10年以上。また調査自体にかかる費用も大きく、1本数億円の調査井を複数掘っても、事業化できない場合があります。こうした理由から地熱発電所の開発は、事業性の見極めが非常に難しく、開発事業者の金銭的なリスクも大きくなっているのです。
日本の地熱発電所の多くは東北と九州に集中しています。日本で初めて1966年に商用運転を開始した発電所は、岩手県にある松川地熱発電所。この松川地熱発電所は50年以上発電を続けており、現在も操業を続けています。
日本は、早くから地熱発電機器の製造技術を確立してきたことから、実は地熱発電技術において世界をリードしています。世界中の地熱発電所で日本メーカーのタービンが使われているのです。
地熱発電はまだまだ課題が多く、ポテンシャルに対して新規導入量が少ないのが現状です。こうした中、脱炭素社会の実現に向けて「次世代型地熱」と呼ばれる新しい発電方式の検討も始まっています。
高温の地層(地熱貯留層)に人工的に水を流し込み、その蒸気で発電する従来型の地熱発電に対し、次世代型地熱とは、地下数千メートルの地熱層に設置した密閉型パイプ内で流体を循環させ熱を抽出する「クローズドループ」と、マグマ上部に存在する高温・高圧の流体である超臨界熱水を利用して発電する「超臨界地熱」等が挙げられます。
次世代型地熱は、従来型ポテンシャル(約2,300万kW)に加えて、約7,700万kW以上の新たなポテンシャルが期待されており、次世代型地熱発電実現に向けて官民の協議会が設置され、実現に向けた議論が始まっています。